レチノールが気になって調べてみたものの、化粧品の話とクリニックの話が混ざっていて、結局どこが違うのか分からなくなった経験はないでしょうか。
レチノールという言葉は、異なる4つの場面で使われています。市販の化粧品、しわを改善する承認を受けた医薬部外品、医師が処方する医薬品、そしてクリニックで受ける施術です。法律上の扱いはそれぞれまったく違います。
この記事では美容医療の視点から、クリニックでレチノールがどのように扱われているのかを整理します。キレイパスの利用データもあわせて紹介します。
同じ「レチノール」でも、どこで手に入るかによって法律上の区分が変わります。ここが混乱の一番の原因です。まず全体像を整理します。
| 区分 | 代表的なもの | 手に入る場所 | しわを改善するとうたえるか |
|---|---|---|---|
| 化粧品 | パルミチン酸レチノールなどを配合した製品 | ドラッグストア・通販・クリニック | うたえない |
| 医薬部外品 | 有効成分「純粋レチノール」の承認を受けた製品 | ドラッグストア・通販・クリニック | 承認された効能の範囲でうたえる |
| 医薬品 | トレチノイン(レチノイン酸)、イソトレチノイン | 医師の処方 | 医薬品としての効能・効果による |
| クリニックの施術 | レチノールピール、マシンによる導入、ダーマペンとの組み合わせ | クリニック | 医療広告の規制上、効果を断定した表現は用いられない |
もっとも身近なのがこの区分です。化粧品として広告できる効能は、厚生労働省の通知で56項目に定められています。「肌を整える」「皮膚にうるおいを与える」「肌のキメを整える」などがこれにあたります。
一方で、シミを消す、毛穴をなくす、ターンオーバーを促進するといった表現は、化粧品の効能の範囲を超えます。レチノール配合と書かれた製品の広告でこうした言葉を見かけても、化粧品としての効能ではない点は知っておくとよいでしょう。
2017年、資生堂が有効成分「純粋レチノール」について、しわを改善する効能効果の承認を厚生労働省から取得しました。レチノールとしては国内で初めての承認です。表皮のヒアルロン酸の産生を促す働きにより、しわを改善するとされています。
ここが重要なところで、レチノールでしわを改善するとうたえるのは、この承認を受けた医薬部外品だけです。同じレチノールという名前でも、化粧品に配合されている場合は同じ表現を使えません。製品を選ぶときは、化粧品なのか医薬部外品なのかを確認すると判断しやすくなります。
トレチノインはレチノイン酸とも呼ばれ、医薬品として扱われます。国内では、急性前骨髄球性白血病の治療薬「ベサノイド」が内服薬として承認されています。催奇形性があるため、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌とされています。
美容目的で使われるトレチノインの外用薬は、国内では承認されていません。取り扱うクリニックでは、医師の判断による自由診療として処方されます。
そしてもう一つが、クリニックで受ける施術です。レチノールピール、マシンを使った導入、ダーマペンとの組み合わせなどがあります。市販品を自分で塗るのとは別の選択肢で、次の章から詳しく見ていきます。
レチノールはビタミンAの一種で、油に溶けやすい脂溶性の成分です。化粧品では、より安定させたパルミチン酸レチノールや酢酸レチノールといった誘導体の形で配合されることもあります。
ビタミンAは、皮膚の中で段階的に形を変えることが知られています。レチノールはレチナールへ、レチナールはレチノイン酸へと変化します。肌への作用に直接関わるのはレチノイン酸の形とされています。
クリニックの施術で「レチナールアクティブ」といった名称の薬剤を見かけるのは、この中間の形を利用したものです。名前が似ているため混同しやすいものの、法律上の区分も入手方法も異なります。
クリニックでレチノールを使った施術が案内されるのは、次のような相談を受けたときです。相談内容によって検討される方法が変わります。
| 相談される内容 | 検討される主な方法 | なぜ候補になるか | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|---|
| 肌のキメ・ざらつきが気になる | マシンで入れる(イオン導入・超音波導入・エレクトロポレーション) | 肌への負担を抑えながら成分を届ける方法として案内されることがある | 他の施術と組み合わせて案内されることがあり、回数と総額が変わる |
| 毛穴の目立ちが気になる | 針で入れる(ダーマペン・水光注射と組み合わせ) | 毛穴まわりへのアプローチを目的に、機器の施術と組み合わせて案内されることがある | ダーマペン等は機器・手技の名前で、レチノールはそこで使う薬剤の名前。設定で内容が変わる |
| 肌のごわつき・角質が気になる | 塗って角質ケアをする(レチノールピール) | 角質のケアを目的とした方法として案内されることがある | 「レチノールピール」は特定の製品名ではない。薬剤・濃度・塗布時間はクリニックで異なる |
| 年齢に応じたケアを始めたい/初めて検討する | まずカウンセリングで肌の状態を確認 | 同じ相談内容でも適した方法は肌の状態によって変わる | 市販の化粧品で足りるのか、施術が必要なのかも含めて相談できる |
上の表はあくまで相談内容ごとの候補を整理したものです。レチノールを使った施術が向いていない場合もあり、別の選択肢を提案されることもあります。最終的な判断は診察が必要です。
感じ方や経過には個人差があり、一律の目安を示すことは難しいのが実情です。何回受けるか、どのくらいの間隔で通うかも診察のうえで決まります。効果を保証するものではない点は理解しておきましょう。
レチノールは自分で塗るものというイメージが強い成分です。クリニックでは、肌に届けるための方法がいくつか用意されています。主なものは次の3つです。
レチノールを配合した薬剤を肌に塗り、一定時間おいてから拭き取る施術です。数日後から皮がむける経過をたどることがあり、程度や期間には個人差があります。
なお「レチノールピール」は特定の1つの製品を指す名称ではありません。使用する薬剤や濃度、塗布時間はクリニックによって異なるため、カウンセリングで確認しておくと安心です。
極細の針で肌に微細な穴をあける機器や、注射で薬剤を届ける施術と組み合わせる方法です。ダーマペンで施術したあとにレチナールを配合した薬剤を用いる、といった形で案内されることがあります。
この場合、ダーマペンや水光注射は施術に使う機器や手技の名前であり、レチノールはそこで用いる薬剤の名前です。設定や薬剤の組み合わせで施術内容は変わります。
微弱な電流や超音波を使って、成分を肌に届けることを目的としたマシンによる方法です。針を使わないため、施術後の見た目の変化が比較的少ないとされ、他の施術と組み合わせて案内されることもあります。
ここからは、キレイパスに掲載されているレチノール関連のチケットについて、実際の購入データを集計した結果を紹介します(2026年8月5日時点の集計。今後変動する可能性があります)。
購入されたチケットを、肌への届け方で分類すると次の構成でした。
レチノールと聞いて多くの方が思い浮かべるのは、自分で塗るタイプではないでしょうか。ところが購入されたチケットを分類すると、マシンや針を使って肌に届けるタイプが99%以上を占めるという結果になりました。キレイパスで購入されたチケットに限ってみると、「塗る」より「入れる」タイプが中心という結果でした。
※上記はキレイパスが独自にチケットのメニュー内容から分類した、購入件数ベースの構成比です。1枚のチケットに複数の施術が含まれる場合は主たる方法で分類しているため、実際に受けた施術の比率と一致するものではありません。
「自分と同じような年代の人が購入しているのか」は、検討中に気になる点のひとつです。キレイパスのレチノール関連チケットの購入データから、利用者層を見てみます(2026年8月5日時点集計、データは今後変動する可能性があります)。
20代以下と30代を合わせると、9割近くを占めています。40代以上は1割程度でした。
| 年代 | 口コミ平均点(5点満点) |
|---|---|
| 20代以下 | 4.6 |
| 30代 | 4.5 |
| 40代以上 | 4.4 |
施術後に投稿された口コミの平均点を年代別に見ると、いずれの年代も4.4以上で、年代によって評価が大きく変わる傾向は見られませんでした。どの世代でも一定の評価を得ていると読み取れます。
※キレイパス掲載チケットの購入・口コミデータをもとに集計(自社データ)。評価はクリニックでの体験に対するもので、施術の効果を保証するものではありません。
※本データは利用実態の参考情報であり、購入を推奨する趣旨のものではありません。
キレイパスで販売中のチケットを届け方別に見ると、多くは次の価格帯(税込)に収まります(2026年8月5日時点)。
| 届け方 | 価格帯 |
|---|---|
| マシンで入れる | 5,500〜17,050円 |
| 針で入れる | 11,000〜27,720円 |
| 塗って角質ケアをする(レチノールピール) | 22,000円 |
同じ施術名でも価格に幅が出るのは、次のような条件が総額に影響するためです。
価格だけで比べると条件の違いを見落としやすくなります。何が含まれた金額なのかを確認したうえで比較しましょう。
キレイパスでは、チケットごとに表示価格と利用条件を購入前に確認できます。ただし麻酔代や薬剤代など、当日の状況によって別途かかる費用が設定されている場合もあるため、注意事項もあわせて確認してください。
レチノールを使い始めた時期に、皮むけや乾燥、赤み、ヒリつきがみられることがあります。こうした変化は「レチノイド反応」と呼ばれます。クリニックや情報サイトでは「A反応」という呼び名が使われることもありますが、医学的に定義された用語ではありません。
出方も続く期間も個人差が大きく、ほとんど気にならない方もいれば、はっきり出る方もいます。どの相談内容にどの方法が候補になるかは、上の「相談内容別の選び分け」を参照してください。
報告されている主なものは、皮むけ・乾燥・赤み・ヒリつきです。使用する薬剤の種類や濃度、肌の状態、届け方によって出方は変わります。強い痛みや腫れが続く場合は、施術を受けたクリニックへ相談してください。
レチノールピールでは数日後から皮むけがみられることがあり、程度も期間も個人差があります。マシンで入れる方法は施術後の見た目の変化が比較的少ないとされますが、こちらも一律の目安を示すことは難しいのが実情です。仕事や予定への影響が気になる場合は、施術前に経過の見通しをカウンセリングで確認しておきましょう。
肌荒れや炎症が起きているとき、他の外用薬を使っているとき、直前に別の施術を受けたときなどは、時期をずらすか別の方法を検討するよう案内されることがあります。市販の化粧品でレチノールを使っていて刺激を感じている場合も、その旨を施術前に医師へ伝えてください。自己判断で重ねないことが大切です。
同じレチノールでも、市販の化粧品を自分で使う場合と、クリニックで施術を受ける場合とでは、想定される経過が異なります。さらに医師の判断で医薬品が処方される場合は、また別に考える必要があります。
情報を集めるときは、それがどの場面の話なのかを確認してください。医薬品を使ったときの経過が、化粧品にもそのまま当てはまるわけではありません。
国内で承認されているトレチノインの内服薬(急性前骨髄球性白血病の治療薬)の添付文書では、催奇形性があるため、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌とされています。さらに警告では、妊娠する可能性のある女性にも原則として投与しないこととされています(2025年8月改訂)。内服薬と外用薬では添付文書上の扱いが異なるため、情報を見るときは同じ成分でもどちらの話なのかを確認してください。レチノールを扱う施術についても、妊娠中・授乳中は避けるよう案内されることが多くあります。
妊娠の可能性がある場合や妊活中の場合は、必ず事前に医師へ伝えてください。
レチノールを使っている間は、日焼け止めを含む紫外線対策をあわせて行うよう案内されることが多くあります。施術を受ける時期の過ごし方についても、カウンセリングで確認しておきましょう。
名前が似ているため混同されやすい3つを整理します。
| 名称 | 区分 | 主な使われ方 |
|---|---|---|
| レチノール | 化粧品・医薬部外品の成分 | 塗る製品、クリニックの施術で使う薬剤 |
| トレチノイン(レチノイン酸) | 医薬品 | 外用薬は国内未承認。医師の判断による自由診療 |
| イソトレチノイン | 医薬品 | 内服薬。国内未承認で、医師の判断による自由診療 |
なお、国内で承認されている外用薬としてはアダパレンがあります。日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、炎症性皮疹(軽症から重症)にアダパレン0.1%ゲルと外用抗菌薬の併用を強く推奨するとされています(CQ3)。トレチノインとは異なる成分です。
イソトレチノインについてはイソトレチノインの効果は?副作用と未承認の注意点で詳しく解説しています。
トレチノインの外用薬とイソトレチノインの内服薬は、いずれも国内では美容目的の医薬品として承認されていません。取り扱う医療機関で使用を検討する場合は、次の5点を確認してください。
厚生労働省は、個人輸入される医薬品は品質・有効性・安全性が国内で確認されていないとして、個人輸入について注意を呼びかけています。
初回はカウンセリングで肌の状態を診てもらい、どの方法が向いているかを相談するところから始めるとよいでしょう。使用する薬剤や回数は診察のうえで決まります。
まだ受ける施術を決めていない場合は、施術名から選ばなくても構いません。気になる相談内容から候補を比べたうえで検討できます。キレイパスでは表示価格・料金に含まれるもの・利用条件・口コミを購入前に確認できます。
どの方法が向いているかは肌の状態によって変わります。まずはカウンセリングで相談してみてください。
効果には個人差があり、必ず効果を保証するものではありません。トレチノインの外用薬・イソトレチノインの内服薬は国内で承認されていない医薬品で、取り扱う医療機関では医師の個人輸入による自由診療として処方されます。妊娠中・授乳中の方は施術前に必ず医師にご相談ください。利用データは2026年8月5日時点の集計であり、今後変動する可能性があります。
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