肌のハリや体の疲れが気になって調べていくと、必ず出てくるのがエクソソームではないでしょうか。ただ、点滴・注射・ダーマペンと投与方法がばらばらに紹介されていて、結局それが何なのかがつかみにくい言葉でもあります。
エクソソームは、特定の1つの薬剤や施術を指す名前ではありません。クリニックで扱われているものの実体は幹細胞培養上清液などの「細胞の分泌物」で、原料の由来も体への入れ方もクリニックごとに違います。
この記事では、投与方法の違い・料金相場・国内での法的な扱いを、公的な資料とキレイパスの掲載データから整理します。
エクソソームは、細胞から出される小さな袋のような粒子です。大きさは約100nm(1mmの1万分の1ほど)で、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の科学委員会報告書では「細胞外小胞」の一種と説明されています。
ポイントは、エクソソームが特定のひとつの成分を指す言葉ではないことです。同報告書は細胞外小胞を「多様な分子を含む複合体」と定義しており、中身はもとになる細胞の種類や状態によって変わります。同じ「エクソソーム」でも、入っているものが同じとは限りません。
厚生労働省は2024年7月31日の事務連絡で、この分野の医療を「ヒトの幹細胞の培養上清液及び当該上清液に含まれる可能性のある細胞外小胞等の細胞の分泌物(エクソソーム等)を用いた医療」と表現しています。「含まれる可能性のある」とあるとおり、培養上清液にエクソソームが入っているとは限りません。
日本細胞外小胞学会も、培養上清液の有効成分は細胞外小胞とは限らないと指摘しています(2023年12月時点)。精製していない培養上清そのものは、細胞外小胞の製剤にはあたらないという整理です。
実際、キレイパスの掲載チケットでも「エクソソーム」「幹細胞培養上清液」の表示が混在し、両方を併記するメニューもあります。呼び名が同じでも中身が同じとは限らない、という前提で見てください。
培養に使われる細胞の由来は臍帯(さいたい)、歯髄(しずい)、脂肪などさまざまです。由来が違えば培養工程も含まれる成分も変わるため、チケットを比べるときの手がかりになります。ただし、メニュー名だけでは由来まで分からないこともあります(後述)。
実体が細胞の分泌物だとわかったところで、次に迷うのが投与方法です。エクソソームという言葉でまとめられていても、体への入れ方は大きく4つに分かれます。どこに届けたいのかによって選ばれる方法が変わるため、まず全体像を押さえておくと迷いにくくなります。
| 投与方法 | 入れ方 | 代表的なメニュー | 掲載チケットの構成比 |
|---|---|---|---|
| 点滴 | 血管から全身へ | エクソソーム点滴 | 45.2% |
| 機器を使った導入 | 微細な穴から肌へ | ダーマペン、ポテンツァなど | 32.5% |
| 注射 | 針で直接肌へ | 水光注射、手打ち注射 | 15.7% |
| 塗布・非侵襲の導入 | 肌の表面から | エレクトロポレーション、頭皮塗布 | 6.6% |
血管から入れて全身をめぐらせる方法で、掲載チケットでは最も多い45.2%を占めます。顔だけでなく体調や疲労感を含めた目的で案内されることが多く、1回あたりの投与量は「1cc」「1バイアル」「250mg」などクリニックごとに単位が異なります。
ダーマペンやマイクロニードルRF機器(ポテンツァ等)で肌に微細な穴を開け、そこからエクソソームを届ける方法です。掲載チケットの32.5%を占めます。薬剤を届ける仕組みそのものはドラッグデリバリー(ポテンツァ)、機器の特徴はポテンツァの効果と持続期間の解説でまとめています。機器そのものの施術料金とエクソソームの薬剤代が合算されているため、点滴とは価格の意味合いが変わります。
針で肌に直接注入する方法で、15.7%です。水光注射のように専用機器で均一に打つものと、医師が手で注入するものがあります。注入部位や量は診察で決まるため、同じ「注射」でも内容は一律ではありません。
エレクトロポレーションやイオン導入など、針を使わずに肌の表面から届ける方法です。6.6%と数は少なく、頭皮への塗布メニューもここに含まれます。
PMDAの報告書では、細胞外小胞に炎症を抑えるはたらきや組織を修復するはたらきがあり、病気の治療に活用できると期待されている段階だとされています。ただし、これは研究レベルで示唆されているはたらきで、美容目的での効果が確立しているわけではありません。
日本細胞外小胞学会も、自由診療で行われている施術については、有効性はもちろん安全性についても科学的根拠が十分に評価されたものはないとしています(2023年12月時点)。
では、実際にはどんな悩みで選ばれているのでしょうか。キレイパスの掲載チケットを対象部位で分けると、顔・肌向けが48.8%、全身向け(点滴)が42.8%、頭皮・髪向けが8.4%でした。相談する内容によって、案内される投与方法が変わります。
| 相談される内容 | 案内される主な投与方法 | なぜ候補になるか | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|---|
| 肌のハリ・くすみ | 注射/機器を使った導入 | 顔の気になる部位に直接届ける | 内出血・赤み・腫れが出ることがある |
| 全身のコンディション | 点滴 | 血管から入れて全身をめぐらせる | 日本抗加齢医学会が静脈への投与を推奨していない |
| 薄毛・頭皮 | 頭皮への注射/機器を使った導入 | 頭皮に直接届ける | 原料の由来が書かれていないメニューが多い |
| ダウンタイムを抑えたい | 塗布・非侵襲の導入 | 針を使わず、価格帯も低め | 届く量や深さを比べる基準が定まっていない |
上の表は候補を整理したものです。どの方法が向いているかは目的や状態によって変わるため、最終的な判断は診察が必要です。
変化の出方も投与方法・投与量・肌や体の状態によって大きく変わります。効果の程度や持続する期間を一律の目安として示すことは難しく、必要な回数や次に受ける時期も診察のなかで決まります。
効果の話より先に知っておきたいのが制度上の位置づけです。公的な資料に記載がはっきりしているため、正確に整理します。
厚生労働省は2024年7月31日の事務連絡で、エクソソーム等について「諸外国を含め有効性・安全性が示され、薬事承認を得て製造販売されている医薬品はありません」と明記しています(2024年7月時点)。日本再生医療学会のガイダンスも、細胞外小胞を主な有効成分とする医薬品に販売承認を与えた国はないとしています(2024年4月時点・第1版)。したがって、エクソソームを用いる医療はすべて自由診療です。
厚生労働省のQ&A(令和7年5月30日版)は、エクソソームを含む細胞外小胞を用いた医療技術について、細胞を含まないことが明らかである場合には法の対象外であると回答しています。培養上清やセクレトーム(細胞が外に出すタンパク質の総称)についても同じ扱いです。
対象外ということは、認定再生医療等委員会の審査を受ける手続きがない、という意味です。日本再生医療学会のガイダンスも、提供する医師・歯科医師が自ら品質とリスクを理解し患者の安全確保に努めるべきとしています。制度による事前チェックがない分、実施する医療機関の判断に委ねられている領域です。
掲載チケットで最も多い点滴について、押さえておきたい見解があります。日本抗加齢医学会は2024年3月、NMN点滴療法、幹細胞培養上清液およびエクソソームの静脈投与について、推奨するに足りるエビデンスが確認できていないとして「現時点では、これを推奨いたしません」との見解を示しました。
同学会は、人体に投与することを前提としない試薬等として流通しているものが医師によって使用されている点にも言及しています。点滴を検討する場合は、この見解があることを踏まえて医師と相談してください。
医療広告に関する国のルールに沿って、未承認の医薬品等を用いる医療について次の5点をお伝えします。
なお、承認されていないことと自由診療であることは別の論点です。承認された医薬品でも美容目的では自由診療になる場合があり、両者を同じ話として扱わないようにしてください。
ここからは、キレイパスに掲載されているエクソソームのチケットの購入データと口コミデータをもとにした集計を紹介します。
キレイパスでエクソソームのチケットを購入した方(2024年以降)の年代別構成比は、次のとおりでした。
30代が最も多く、20代以下と合わせると全体の66.5%を占めます。一方で40代以上も33.6%あり、年代の幅は比較的広いといえます。
※本データは利用実態の参考情報であり、購入を推奨する趣旨のものではありません。
エクソソームのチケットを利用した後に投稿された口コミ(全期間)の平均点を、年代別に見ると次のようになりました。
| 年代 | 口コミ平均点(5点満点) |
|---|---|
| 20代以下 | 4.6 |
| 30代 | 4.5 |
| 40代 | 4.3 |
| 50代以上 | 4.4 |
いずれの年代も4.3以上で、年代によって評価が大きく変わる傾向は見られませんでした。どの世代でも一定の評価を得ていると読み取れます。
※キレイパス掲載チケットの購入・口コミデータをもとに集計(自社データ)。評価はクリニックでの体験に対するもので、薬剤の効果を保証するものではありません。
料金は投与方法によって傾向が違います。キレイパスで販売中のチケットの表示価格(税込)を、投与方法ごとに整理しました。いずれも下位10%〜上位10%の範囲です。
| 投与方法 | 多くのチケットが収まる価格帯 |
|---|---|
| 点滴 | 19,800〜110,000円 |
| 機器を使った導入 | 24,000〜69,800円 |
| 注射 | 27,000〜93,000円 |
| 塗布・非侵襲の導入 | 17,380〜33,000円 |
同じ「エクソソーム点滴」でも10万円近い差がつくのは、表示されている価格が指しているものがクリニックによって違うからです。主な要因は次のとおりです。
比較するときは総額と投与量をセットで確認すると、実質的な差が見えやすくなります。
投与方法を決めきれない場合も、掲載中のチケットで内容と価格を並べて比較できます。
リスクは、投与方法によるものと、製剤そのものによるものを分けて考える必要があります。
注射や機器を使った導入では、針を刺すことによる内出血、赤み、腫れ、痛みなどが起こることがあります。ダーマペンやマイクロニードルRF機器では、施術直後に赤みやヒリつきが出て、数日で落ち着くことが多いとされますが、程度や期間には個人差があります。点滴では、穿刺部位の内出血のほか、体調の変化が出る場合があります。ダウンタイムの程度は方法や設定によって差があるため、事前に確認してください。
日本再生医療学会のガイダンスは、細胞外小胞を用いた治療の一般的なリスクとして8項目を挙げています。
PMDAの報告書も、精製方法について「現段階でベストな方法は存在せず多くの方法があることが問題となっている」と指摘し、精製方法によっては不純物の混入が多いとしています。また、培地成分やエンドトキシン(細菌に由来する発熱物質)などの混入は品質管理でかなり防げる部分があるため、適切な管理手法の構築が重要だとしています。
これらのリスクがどの程度の頻度で起こるのかを、一律の数値で示すことは現時点ではできません。未承認の医療であり、発生頻度を集計した公的な統計が整備されていないためです。気になる症状が出た場合に相談できる体制があるかを、事前に確認しておくと安心です。
妊娠中・授乳中・妊娠を希望している場合は、上記の一覧に生殖や胎児の発生に関する項目が含まれている点を必ず医師に伝えてください。医療機関によっては、感染症の既往や免疫に関わる病気の治療歴を事前に確認しています。点滴については、日本抗加齢医学会が推奨していない旨を前述しました。その指摘を踏まえて説明を受けてください。
エクソソームの製剤そのものには、薬事承認された医薬品がないため添付文書に相当する国の基準がありません。ただし、機器を使った導入では機器側に、麻酔を併用する場合は麻酔薬側に、それぞれ使用できない条件が設定されていることがあります。併用する機器・薬剤も含めて、受けられない条件をカウンセリングで確認してください。
製剤側の判断材料としては、日本抗加齢医学会が静脈への投与を推奨しない見解を示していること(2024年3月時点)、日本細胞外小胞学会が流通しているものを研究用の試薬と指摘していること(2023年12月時点)の2点があります。どの製剤をどう調達しているかによって、医療機関の判断も変わります。
再生医療や肌への注入と聞いて思い浮かぶ施術と、制度上の扱いが違う点を整理します。優劣を比べるものではなく、性質の違いとして確認してください。
| 施術 | 使うもの | 法制度上の扱い |
|---|---|---|
| エクソソーム | 幹細胞培養上清液など細胞の分泌物 | 細胞を含まない場合は再生医療等安全性確保法の対象外 |
| PRP皮膚再生療法 | 自分の血液から取り出した多血小板血漿 | 細胞加工物(人の細胞に加工を加えたもの)にあたり、同法の対象 |
| ヒアルロン酸注入 | ヒアルロン酸製剤 | 国内承認製剤と未承認製剤があり、製剤ごとに異なる |
| 白玉点滴 | グルタチオン | 国内で承認された医薬品を美容目的で用いるため、適応外使用にあたることがある |
| NMN点滴 | ニコチンアミドモノヌクレオチド | 医薬品としての薬事承認はなく、エクソソームと同じく未承認の扱い |
同じ「再生」という言葉で語られていても、PRPは法の対象、エクソソームは対象外という違いがあります。PRPは自分の血液を加工して戻すため細胞加工物にあたり、提供計画の提出や委員会の審査といった手続きが必要です。この手続きの有無は、検討するうえで押さえておきたい差です。
制度による事前チェックがない領域だからこそ、カウンセリングで確認する項目を持っておくと判断しやすくなります。
キレイパスに掲載中のエクソソームのチケットのうち、チケット名や説明文に原料の由来が書かれているのは28.9%です。内訳は臍帯由来が19.3%、歯髄由来が8.4%、脂肪由来が1.2%でした。メニュー名だけで由来まで分かるとは限らないため、カウンセリングで直接聞くのが確実です。記載がないことは、クリニックが把握していないことを意味しません。
日本再生医療学会のガイダンスは、提供する医師が製剤の品質とリスクを自ら理解しておくべきだとしています。この考え方を、患者側から確認できる形に置き換えると次のようになります。
これらに具体的に答えてもらえるかどうかは、そのクリニックがどこまで把握して提供しているかの手がかりにもなります。
制度による事前のチェックがない領域である分、説明の丁寧さや情報開示の姿勢がクリニック選びの判断材料になります。気になる点は遠慮なく質問し、納得したうえで検討してください。
効果には個人差があり、施術の効果を保証するものではありません。エクソソーム等を有効成分とする医薬品は国内で薬事承認されておらず、すべて自由診療です。使用される製剤は医療機関が国内外の事業者から仕入れる、医師が個人輸入する、医療機関内で調製するなど経路が異なります。未承認の医薬品等による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象となりません。妊娠中・授乳期の方、持病がある方は、施術前に必ず医師にご相談ください。利用データは2026年8月10日時点の集計であり、今後変動する可能性があります。
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