プラセンタという言葉を、クリニックの施術メニューでもドラッグストアの棚でも見かけて、同じものなのだろうかと思ったことがあるのではないでしょうか。
同じ名前で呼ばれていますが、医療機関で扱う注射薬と、市販のサプリメントや化粧品は、原料になる生き物も法律上の扱いも別のものです。医療機関で使われるのはヒトの胎盤から作られた医療用医薬品で、市販品に使われているのは豚や馬など動物の胎盤から得た成分です。
この記事では、その違いを起点に、国が承認している効能、料金の決まり方、献血への影響、副作用までを整理します。
プラセンタは胎盤のことで、美容や健康の分野では胎盤から抽出した成分を指して使われます。流通している形は大きく分けて3つあり、どれを指しているかで前提が変わります。
| 項目 | プラセンタ注射 | サプリ・ドリンク | 化粧品 |
|---|---|---|---|
| 扱う場所 | 医療機関のみ | 市販 | 市販 |
| 法律上の区分 | 医療用医薬品 | 食品 | 化粧品 |
| 主な原料 | ヒトの胎盤 | 豚・馬などの胎盤 | 豚・馬などの胎盤 |
| 医師の処方 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 献血への影響 | 使用後は献血を控えることになる | 案内に記載なし | 案内に記載なし |
化粧品のルールを定めた化粧品基準では、一部の例外を除き、化粧品に医薬品の成分を配合してはならないと決められています。市販の化粧品やサプリメントに使われているプラセンタが豚や馬など動物由来なのは、こうした区分の違いを反映したものです。
医療機関で使う注射薬は、さらに特定生物由来製品に指定されています。これは、生物を原料とすることで感染症が伝わる可能性を完全には否定できない製品につけられる区分です。使用した医薬品名や製造番号、使用した日、患者の氏名などを記録し、少なくとも20年間保存することが医療機関に求められています。
つまり、注射薬とサプリメントは「同じ成分の濃さが違うもの」ではなく、規制の枠組みからして異なる製品です。プラセンタについて調べた情報が注射の話なのかサプリの話なのかは、読み分けたほうがよい部分になります。
2026年8月時点で国内承認されているヒト胎盤由来の注射薬は、ラエンネックとメルスモンです。どちらも医師の処方が必要な医療用医薬品で、承認されている効能は次のように異なります(国が承認した医薬品情報の記載によります)。
| 項目 | メルスモン | ラエンネック |
|---|---|---|
| 承認されている効能 | 更年期障害、乳汁分泌不全(産後に母乳が出にくい状態) | 慢性肝疾患における肝機能の改善 |
| 承認された用法 | 1日1回2mLを毎日または隔日 | 1日1回2mL(症状により1日2〜3回) |
| 承認された注射の方法 | 皮下注射のみ | 皮下注射または筋肉内注射 |
| 1管(2mL)あたりの有効成分 | 胎盤絨毛分解物の水溶性物質 100mg | 胎盤酵素分解物の水溶性物質 112mg |
| 製造販売元 | メルスモン製薬 | 日本生物製剤 |
有効成分の名称が製剤ごとに異なるため、含量の数値をそのまま比べることはできません。
注目したいのは、どちらの効能にも美肌や疲労回復が含まれていない点です。承認されているのは更年期障害と乳汁分泌不全、そして慢性肝疾患における肝機能の改善だけです。そのため、美容や疲労回復を目的にプラセンタ注射を受ける場合は、承認された効能に含まれない使い方にあたります。この使い方は保険の対象にならず、費用は全額自己負担の自由診療になります。
使われる薬剤そのものは国内で承認された医療用医薬品で、通常の医薬品の流通経路を通じて医療機関に納入されるものです。医師の個人輸入による未承認薬ではありません。保険が使えるのは、診察で更年期障害や慢性肝疾患と診断され、承認された効能に沿って使われる場合に限られます。同じ薬剤でも、目的によって保険診療か自由診療かが変わります。
承認されている注射の方法は、メルスモンが皮下注射のみ、ラエンネックが皮下注射または筋肉内注射です。クリニックによっては点滴(静脈内)や、顔・ツボへの注入を扱っているところもありますが、これらは承認された用法に含まれない使い方にあたります。
つまりプラセンタ注射では、目的(効能)と打ち方(用法)の両方で、承認の範囲から外れることがあります。どちらの場合も自由診療になり、下記の救済制度の考え方も同じです。
美容目的での頻度として「週に1〜2回」といった目安が語られることがあります。ただしこれは国が承認した用法として定められたものではありません。承認された用法は上の表のとおりで、更年期障害や肝機能の改善を目的とした使い方を前提にしています。
美容目的で受ける場合の回数や間隔は、目的や体調をふまえてクリニックが設定するものです。何回受ければよいかを一律の基準として示すことは難しいため、診察時に確認してください。
医薬品による健康被害を補償する医薬品副作用被害救済制度は、承認された効能・効果、用法・用量、使用上の注意に従って使われた場合を対象としています。承認された効能に含まれない目的で使った場合はもちろん、注射の方法が承認された用法と異なる場合も、原則として対象になりません。
プラセンタ注射は、特定の部位を狙って変化を起こす施術ではなく、注射で全身に届ける方法です。そのため、悩みの種類によって向き不向きが分かれます。
| 悩みの特徴 | 候補になる方法 | 選ぶ理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 肌全体のハリや乾燥が気になる | プラセンタ注射(皮下・筋肉内) | 部位を限定せず全身に届く | 美容目的は承認外で自由診療 |
| 疲れやすさやだるさが続く | プラセンタ注射も候補になるが、まず原因の確認 | 全身に届く方法が対象にしうる範囲と重なる | 疲労回復は承認された効能に含まれない |
| シミやたるみなど狙いたい変化がはっきりしている | 光治療や注入治療なども比較対象になる | 部位や層で決まる悩みには別の施術が合う | 併用の可否は診察で確認 |
| 更年期の不調が主な悩み | メルスモンを用いたプラセンタ注射 | 承認効能に更年期障害が含まれる | 保険適用は診断による。美容目的兼用は自費 |
| 肩こりなど部位の不調が気になる | ツボ打ち(肩などに直接注射する打ち方) | 部位が限られる悩みにその部位で対応 | 承認用法の範囲外。取扱院も限られる |
いずれも候補の整理であって診断ではありません。自分の状態に合うかどうかは、医師の診察で確認してください。
プラセンタ注射は部位を限定せず全身に届ける方法なので、顔の一部を対象にする施術とは考え方が異なります。特定のシミやシワではなく、肌全体の調子が気になる場合に候補になります。美容医療がはじめての方は、1回で完結する施術ではない点を先に確認しておくとよいでしょう。回数をまとめたチケットが多く出ているのも、続けることを前提にした施術だからです。
疲労回復を目的に受ける方もいます。ただし、これも承認された効能には含まれない使い方です。だるさが続く背景に別の原因がある場合もあるため、まずは症状について医師に相談してください。
変化を起こしたい部位や悩みがはっきりしている場合は、その悩みを対象にした施術のほうが目的に合うことがあります。光治療や注入治療などが比較対象になります。プラセンタ注射と組み合わせられるかどうかはクリニックによって判断が分かれるため、併用を考えている場合は診察時に伝えてください。
メルスモンは更年期障害を承認された効能に含む製剤です。更年期の症状が主な悩みであれば、婦人科や内科での診察が選択肢になります。診断がついた場合は保険診療の対象になる可能性があり、美容目的で受ける場合とは費用の考え方が変わります。どちらにあたるかは診察で判断されます。
肩や腰など、不調のある部位に直接注射する打ち方があり、クリニックによってはツボ打ちと呼ばれています。キレイパス掲載のプラセンタ注射のチケットを打ち方で分けると、部位を指定しない皮下・筋肉内注射が86.9%を占め、ツボ打ちは4.8%、顔への注入が4.8%、点滴が3.6%でした(合計は端数処理のため100%になりません)。
部位を指定する打ち方は選択肢としては存在するものの、取り扱いは限られます。前述のとおり承認された用法の範囲外にあたるため、希望する場合は対応の有無とあわせて診察で確認してください。
キレイパスでプラセンタ注射のチケットを購入した方(直近2年)の年代別構成比は、次のとおりでした(2026年8月13日集計。数値は変動する可能性があります)。比較のため、同じ期間のキレイパス全体の構成比も並べています。
40代以上を合わせると、プラセンタ注射では53.2%を占めます。キレイパス全体では18.5%なので、利用者の年齢層がはっきり上に寄っている施術ということになります。20代以下が半数を占める全体の傾向とは対照的です(プラセンタ注射の合計は端数処理のため100%になりません)。
年代別の口コミ平均点は次のとおりです。
| 年代 | 口コミ平均点(5点満点) |
|---|---|
| 20代以下 | 4.5 |
| 30代 | 4.4 |
| 40代 | 4.4 |
| 50代以上 | 4.5 |
施術後に投稿された口コミの平均点を年代別に見ると、いずれの年代も4.4以上で、年代によって評価が大きく変わる傾向は見られませんでした。どの世代でも一定の評価を得ていると読み取れます。
※キレイパス掲載チケットの購入・口コミデータをもとに集計(自社データ)。評価はクリニックでの体験に対するもので、薬剤の効果を保証するものではありません。
※本データは利用実態の参考情報であり、購入を推奨する趣旨のものではありません。
プラセンタ注射の料金は、1回に使うアンプル(薬剤の入った容器)の本数と、1回分か複数回分のセットかという2つの要素で決まります。同じ「プラセンタ注射」という名前でも、この2つが違えば金額は大きく変わります(2026年8月13日時点で販売中のチケットの表示価格。上下10%を除いた範囲で、多くのチケットがこの範囲に収まります)。
| 内容 | 掲載の割合 | 価格帯 |
|---|---|---|
| 1回分・1アンプル | 34.5% | 1,000円〜4,800円 |
| 1回分・2アンプル | 26.2% | 1,980円〜4,400円 |
| 回数セット(1回あたりに換算) | 25.0% | 約1,270円〜3,200円 |
| 1回分・3アンプル以上 | 14.3% | 2,750円〜22,000円 |
読み取れるのは2点です。1つは、1回あたりで比べると回数セットのほうが安くなる傾向があること。もう1つは、3アンプル以上をまとめたチケットでは金額の幅が大きく広がることです。10アンプルや20アンプルをまとめた内容もあり、上限は本数に応じて上がります。
また、チケットの料金に含まれる範囲はクリニックごとに異なります。初診料や再診料、他の成分を加える場合の追加料金などが別途かかることがあるため、予約前に対象範囲を確認してください。
施術名から選べなくても、気になる悩みから候補を比較できます。キレイパスでは購入前に料金・対象条件・別途かかる費用の有無・口コミを確認できます。
プラセンタ注射を検討するときに知っておきたいのが、献血への影響です。これは事実で、日本赤十字社は2006年10月10日から、ヒト胎盤由来製剤の注射剤を使ったことがある方からの献血を当面の間ご遠慮いただくこととしています。
理由は、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)が伝わる可能性を理論上は否定できないためです。これまでプラセンタの注射薬の使用と関連したvCJDの発生は報告されていません。ただし、この病気には解明されていない点が多く、輸血時に検査で調べる方法も実用化されていません。そのため、輸血を受ける患者の安全を優先した予防的な対応がとられています。
ここで押さえておきたいのは、日本赤十字社の案内が対象としているのが注射剤だという点です。サプリメントやドリンクなどの健康食品、化粧品については、この案内に記載がありません。判断に迷う場合は、献血の前に相談してください。
期間についても確認しておいてください。日本赤十字社の案内は「当面の間」という表現で、いつまでという期限は示されていません。一度受けると当面は献血の対象から外れると考えて検討することになります。将来的に献血を続けたい方にとっては、事前に判断しておきたい要素です。
どのような悩みで候補になるかは、前述の「プラセンタが候補になりやすい悩み」で整理しています。ここでは、受けるかどうかを判断する材料になるリスクの側をまとめます。
次にあてはまる場合は、受けるかどうかを慎重に検討したほうがよいでしょう。
プラセンタ注射は1回で完結する施術ではなく、続けることを前提に案内されることが多い施術です。求める変化と通院の負担が見合うかどうかを、診察時に確認してください。
切ったり照射したりする施術ではないため、施術後に長期間の制限がかかるものではありません。注射部位に痛みや発赤が出ることがありますが、多くは一時的なものです。ただし、感じ方や出方には個人差があり、注射する部位や本数によっても変わります。当日の入浴や運動の可否については、クリニックの指示に従ってください。
国が承認した医薬品情報には、次の副作用が記載されています。
いずれも、異常を感じた場合は自己判断せず、施術を受けたクリニックに相談してください。
また、両製剤とも原料はヒトの胎盤です。原料を採取する際の問診や検査、製造工程での加熱処理といった対策がとられていますが、ヒトの胎盤を原料としていることによる感染症が伝わるリスクを完全に取り除くことはできないと、国が承認した医薬品情報に明記されています。この点は、治療の必要性とあわせて理解したうえで受けることが求められています。
国が承認した医薬品情報では、ラエンネックはその薬に対して過敏症を起こしたことがある方、メルスモンはその薬または他の薬に対して過敏症を起こしたことがある方には投与しないこととされています。薬でアレルギー症状が出たことがある方は、薬剤名を伝えて診察で確認してください。
アレルギーに関しては、成分や製造工程も確認材料になります。メルスモンには添加剤としてベンジルアルコールが含まれます。ラエンネックは製造工程でブタの胃粘膜由来のペプシンとウシの乳由来の乳糖を使用しており、アレルギー体質の方は注意が必要な患者として挙げられています。
このほか、妊娠中や授乳中の方、持病がある方、服用中の薬がある方については、クリニックによって対応が分かれます。受けられるかどうかは診察で判断されるため、状況を伝えたうえで確認してください。なお、美容目的での使用や、承認された方法以外での注射は、いずれも承認の範囲から外れる使い方であり、費用は全額自己負担の自由診療になります。
続けることを前提にする施術なので、通いやすさと料金の条件を先に確認しておくと後から迷いにくくなります。
施術名から選べなくても、気になる悩みから候補を比較できます。キレイパスでは購入前に料金や対象条件、別途費用の有無、口コミを確認したうえで予約できます。
プラセンタは、注射薬と市販品で規制の枠組みそのものが異なる成分です。記事の要点を整理します。
まずは自分の悩みが、部位を絞らない全身向けの方法に合うものかどうかを整理してみてください。そのうえで、アンプルの本数と回数を揃えて料金を比べると判断しやすくなります。
本記事は施術の情報提供を目的としたもので、効果を保証するものではありません。感じ方には個人差があります。プラセンタ注射を美容目的で受ける場合、および承認された方法以外で注射する場合は、いずれも承認された効能・用法の範囲外にあたる自由診療です。適否については医療機関にご相談ください。掲載価格・集計データは2026年8月13日時点のもので、変動する可能性があります。
編集:キレイパス編集部
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