更新日:2026.10.29

ピルを飲みながら肝斑の治療やトラネキサム酸を考えていると、「一緒に飲んではいけない」という説明と「併用できる」という説明の両方が見つかり、迷ってしまうのではないでしょうか。日本の医療用のトラネキサム酸の添付文書では、ピルとの併用は禁忌にも注意にもあたりません。一方で、市販のトラネキサム酸の添付文書はピルを飲んでいる人に服用前の相談を求めていて、米国の添付文書では、エストロゲンを含むピルとの併用が禁忌とされています。
キレイパスに掲載されている肝斑の治療(トーニングなど)や医療脱毛のチケットでも、「受けられない方」にピルの服用を挙げているものはごく一部でした。ただし、クリニックによって方針は違うため、どの施術でもピルを飲んでいることを必ず伝えておきましょう。
本記事では、ピルとトラネキサム酸について国内外の添付文書に書かれていることと、飲む・点滴・肌に入れる方法の違いを整理します。あわせて、肝斑やシミとピルの関係、医療脱毛を受けるときの注意を、キレイパスに掲載されているチケットの実態とともに解説します。
この記事でいう「ピル」には、避妊のための低用量の経口避妊薬(ファボワール、ミニピルのスリンダなど)と、月経困難症の治療薬(LEP:アリッサ、ドロエチなど)が含まれます。生理日の調整などに使われる中用量のプラノバールも、ここではピルとして扱います。いずれも医師が処方する医療用医薬品です。
トラネキサム酸は、出血を止める薬や、のどの炎症をおさえる薬として使われてきた成分で、美容医療では肝斑の治療に使われています。トラネキサム酸そのものの働きや飲み方、料金は、トランサミン(トラネキサム酸)の施術ページで紹介しています。ここでは、ピルと一緒に使うときに確かめたいことに絞って見ていきます。
ピルとトラネキサム酸の組み合わせは、どの文書を見るかで書き方が違います。
| 文書 | 対象 | ピルとの組み合わせについての書き方 |
|---|---|---|
| 医療用のトラネキサム酸(トランサミン)の電子添文 | 医師が処方する薬 | 併用禁忌・併用注意に経口避妊薬はない。血栓症があらわれるおそれのある人には注意が必要 |
| 市販のトラネキサム酸(トランシーノEX)の添付文書 | 薬局で買う第1類医薬品 | 経口避妊薬を飲んでいる人は、服用前に医師または薬剤師に相談 |
| 米国のトラネキサム酸錠の添付文書 | 米国で月経過多の治療に使う薬 | エストロゲンと黄体ホルモンを組み合わせたピルとの併用は禁忌 |
医療用のトラネキサム酸(トランサミン)では、一緒に使ってはいけない薬(併用禁忌)はトロンビンという止血の薬だけで、ピルは併用禁忌にも併用注意にも挙がっていません。ピル側の添付文書にも、トラネキサム酸についての記載はありません。
ただし、トランサミンは、血栓がある人や血栓症があらわれるおそれのある人には注意して使う薬とされています。血栓を溶けにくくする方向に働くためです。ピルにも血栓症のリスクがあるため、組み合わせるかどうかは、ピルの種類や体の状態を見て医師が判断します。
薬局で買えるトラネキサム酸の飲み薬にも、肝斑を効能とするものがあります。そのひとつのトランシーノEX(第1類医薬品)は、効能が「しみ(肝斑に限る)」と定められています。添付文書の「相談すること」には、経口避妊薬やホルモン補充療法など血栓症を起こすおそれのある薬を飲んでいる人は、服用前に医師又は薬剤師に相談するよう書かれています。
市販のかぜ薬やのどの薬にも、トラネキサム酸が入っているものがあります。これらの添付文書でも、血栓症を起こすおそれのある人は服用前に相談するよう求められています。美容目的のトラネキサム酸と重ねて飲んでしまわないよう、成分表示を確かめておくと安心です。
米国では、トラネキサム酸の飲み薬が、月経時の出血が多い(月経過多)女性の治療薬として承認されています。その添付文書(2024年7月改訂)では、エストロゲンと黄体ホルモンを組み合わせたピル(混合型のホルモン避妊薬)との併用は禁忌です。理由として、トラネキサム酸が血栓を溶けにくくするため、ピルによる血栓のリスクを高めるおそれがあると説明されています。
日本で処方されている低用量ピルの多くは、黄体ホルモンだけを含むミニピルを除いて、この混合型にあたります。日本と米国で書き方が違うからこそ、自己判断で一緒に飲み始めず、ピルを飲んでいることを処方する医師に伝えることが大切です。
エストロゲンを含むピルの添付文書では、年齢や喫煙などのリスク因子の有無にかかわらず、血栓症があらわれることがあるとされています。ファボワールの添付文書に載っている海外の調査では、ピルを飲んでいる女性の静脈血栓症のリスクは、飲んでいない女性の3.25〜4.0倍と報告されています。リスクは飲み始めの1年間が最も高いとされています。
次のような症状が出たときは、すぐに受診してください。
「トラネキサム酸」とひとまとめにされがちですが、美容医療での使い方は、飲む、点滴する、肌に入れるの3つに分かれます。添付文書の注意がそのまま当てはまるかどうかも、使い方で変わります。
飲み薬と点滴は、トラネキサム酸が血液を通って全身に届く使い方です。医療用の注射薬(トランサミン注)の添付文書でも、飲み薬と同じく、血栓症があらわれるおそれのある人への注意が書かれています。白玉点滴などの美容点滴にトラネキサム酸が入っていることもあるため、点滴の中身を確かめ、ピルを飲んでいることを伝えておくと安心です。
トラネキサム酸そのものの副作用として、飲み薬では、かゆみ・発疹、食欲不振・吐き気・嘔吐・下痢・胸やけ、眠気が報告されています。重大な副作用には、人工透析を受けている人での痙攣(頻度不明)が挙げられています。注射薬では、ショックと痙攣(いずれも頻度不明)が重大な副作用とされ、静脈に注射したときの一時的な色の見え方の異常や頭痛も報告されています。
イオン導入やエレクトロポレーションは、微弱な電気などを使って、トラネキサム酸を含む薬剤を肌に浸透させる施術です。クリニックの説明では、針を使わず、冷やした炭酸ガスで薬剤を届けるターゲットクールという機器もあります。ピルを飲んでいて内服を見送るときの選択肢として、こうした肌に入れる方法を案内するクリニックもあります。
上で紹介した添付文書の注意は、飲み薬と注射薬についてのものです。肌に入れる薬剤がどのような製品かはクリニックによって違い、導入用の薬剤の副作用を確かめられる公的な資料は見当たりませんでした。掲載チケットの中には、ペースメーカーなどの電気を使う医療機器を付けている人や、金属アレルギー・てんかんの既往がある人を、受けられない方に挙げているものがあります。寒さで症状が出る体質(寒冷じんましんなど)の人を挙げているチケットもあります。受けてよいか、どのような肌の反応が起こりうるかは、ピルを飲んでいることを伝えたうえでカウンセリングで確かめておきましょう。
水光注射やダーマペンなど、針を使ってトラネキサム酸を肌の中に入れる施術もあります。使う量や方法が施術ごとに違うため、ピルを飲んでいる人が受けてよいかは医師が判断します。
キレイパスで販売中のチケットのうち、タイトルにトラネキサム酸が入っているのは141件(107院)です。使い方で分けると、次のとおりです。
| 使い方 | チケット数 | クリニック数 |
|---|---|---|
| 導入(イオン導入・エレクトロポレーション・ターゲットクールなど) | 115件 | 85院 |
| 注入(水光注射・ダーマペンなど) | 13件 | 12院 |
| 点滴・注射 | 9件 | 8院 |
※キレイパス掲載チケットをもとにした自社データです。本データは利用実態の参考情報であり、購入を推奨する趣旨のものではありません。
トラネキサム酸のチケットの多くは、飲み薬ではなく肌に入れる施術です。内服のチケットは掲載が少なく、ほかの施術とのセットのものも含まれます。導入の単体のメニューでは、表示価格の多くが約4,000〜2万600円です(2026年10月23日時点)。
なお、これらのチケットの「受けられない方」の欄にピルの服用を書いているものは、ありませんでした。この欄は各クリニックが任意に書くもので、書かれていないことが「ピルを飲んでいても受けられる」という意味ではありません。予約の前にピルを飲んでいることを伝えておけば、当日に慌てずに済みます。
ピルを飲み始めてから、肌の色の変化が気になる人もいます。ピルと肌の色の変化については、添付文書にも記載があります。
ファボワール・ドロエチ・プラノバールの添付文書には、副作用として「色素沈着」が挙げられていて、長時間太陽光を浴びないよう注意することとされています。アリッサにも、副作用として「色素沈着障害」の記載があります。一方、黄体ホルモンだけを含むミニピル(スリンダ)には、色素沈着の記載はありません。
ピルを飲んでいる間は、日焼け止めや日傘などの紫外線対策を、いつも以上に意識しておくとよいでしょう。
肝斑は、両頬に左右対称に出ることが多い、薄い褐色のシミです。トランシーノEXの添付文書では、肝斑について「妊娠、経口避妊薬などにより誘発あるいは悪化するので、女性ホルモンが関連して発症するといわれています」と説明されています。
ピルを飲み始めてから頬のシミが濃くなったと感じたら、自己判断でピルをやめずに、ピルを処方している医師に相談してください。ピルを続けるか、別の種類に変えるかは、ピルを飲む目的(避妊・月経困難症など)とあわせて決める必要があります。
トランシーノEXの添付文書でも、肝斑はレーザー治療で悪化するといわれていると説明されています。肝斑とほかのシミでは治療の進め方が変わるため、どのシミかを医師に見分けてもらうことが大切です。カウンセリングでは、ピルを飲んでいること、飲み始めた時期、シミが気になり始めた時期を伝えておくと、医師が見分けるときの手がかりになります。
肝斑の治療の考え方は肝斑とレーザー治療のコラム、肝斑やくすみに使われることがあるトーニングはピコトーニングのコラム、シミの種類ごとのレーザーはシミ取りレーザーのコラムで紹介しています。
キレイパスに掲載されている脱毛のチケットで、ピルの服用を「受けられない方」に挙げているものはごく一部です。ただし、肌の状態や使う機器によって、クリニックの判断が分かれることがあります。
ピルの添付文書には、医療脱毛などの施術についての記載はありません。ピルを飲んでいることで脱毛の効果が下がるかどうかを確かめられる公的な資料も、見当たりませんでした。
気をつけたいのは、先に紹介した副作用の「色素沈着」と日光の注意です。脱毛の前後は日焼けを避けることが求められるため、ピルを飲んでいる人は、ふだんよりも念入りな紫外線対策が大切になります。
キレイパスで販売中の脱毛のチケットは1,620件(262院)です。このうち、「受けられない方」の欄にピルの服用を挙げていたのは、1院の14件でした。肝斑やくすみに使われるトーニング・肝斑治療のチケット(559件・265院)では、ピルの服用を挙げているものはありませんでした(いずれも2026年10月23日時点)。
ほとんどのクリニックはピルの服用を対象外にしていませんが、断るクリニックもあります。チケットを買う前に「受けられない方」の欄を確かめ、カウンセリングでもピルを飲んでいることを伝えておくと、当日に受けられないという行き違いを防げます。
※キレイパス掲載チケットをもとにした自社データです。本データは利用実態の参考情報であり、購入を推奨する趣旨のものではありません。
脱毛のカウンセリングでは、ピルの名前、飲み始めた時期、最近日焼けをしたか、肌の色が変わってきた部分があるかを伝えます。医療脱毛の料金の目安は医療脱毛の値段のコラム、支払い方は都度払いとコース契約のコラムで紹介しています。
ピルは毎日飲む薬なので、薬を飲んでいる意識が薄れがちです。美容医療の問診票に「飲んでいる薬」の欄があれば、ピルも忘れずに書いておくことが大切です。
エストロゲンを含む低用量ピル(ファボワール・アリッサ・ドロエチ)の添付文書では、手術前4週以内、術後2週以内、産後4週以内の人には使わないこととされています。長い間安静にしている状態の人も同じです。手術の前後は血液が固まりやすくなるためです。
脂肪吸引などの美容外科の手術を考えている場合は、手術の日程が決まる前に、ピルを処方している医師と手術を行う医師の両方に相談してください。どの施術がこの「手術」にあたるか、ピルをいつ休んでいつ再開するかは、医師の指示に従います。
ピルの添付文書に書かれている重大な副作用は、血栓症です。そのほかに、吐き気、頭痛、乳房の痛みや張り、不正出血などが報告されています。エストロゲンを含む低用量ピル(ファボワール・アリッサ・ドロエチ)を使えない人には、血栓症になったことがある人や前兆のある片頭痛がある人が含まれます。35歳以上で1日15本以上たばこを吸う人も使えません。
自分のピルで何に気をつければよいかは、ピルの種類で変わります。処方を受けたときの説明書を見直すか、ピルを処方している医師に確かめると確実です。
トラネキサム酸の内服や点滴、肌に入れる施術は、肝斑や美白の目的で多くのクリニックで行われています。一方で、医療用のトラネキサム酸(トランサミン)の承認された効能に、肝斑や美白は含まれていません。承認された使いみちと違う使い方をする医薬品について、医療広告ガイドラインでは次の5点を示すこととされています。
ピルとトラネキサム酸の組み合わせは、日本の医療用の添付文書では併用禁忌にあたりませんが、市販薬は事前の相談を求め、米国ではエストロゲンを含むピルとの併用が禁忌とされています。肝斑の治療や医療脱毛は、ピルの服用を対象外にしていないチケットがほとんどですが、クリニックによって方針が違います。どの美容医療を受けるときも、ピルの名前と飲み始めた時期を伝えてから始めてみてください。
費用を抑えつつ、美容施術を継続したいと考える方は、ぜひキレイパスの利用をご検討ください。キレイパスでは、購入金額に応じてポイントが付与されます。獲得したポイントは、他の美容施術チケットを購入する際に利用できるため、とってもお得。
ぜひキレイパスを活用し、気軽に楽しく“キレイ”を目指しましょう。
ピルの処方を受けられるチケットも、キレイパスで見比べられます。ドロエチは避妊ではなく月経困難症の治療薬なので、目的に合う薬を医師と相談して選ぶことになります。
本記事は公開情報と自社データに基づく編集記事であり、診断・治療の助言を目的としたものではありません。効果には個人差があり、記載内容は効果を保証するものではありません。治療を検討される場合は医師にご相談ください。利用データは2026年10月23日時点の集計であり、今後変動する可能性があります。
参考文献